私評 関興 カンコウ

関興も張苞と同じく、実際は若死にしているので戦場での活躍がほとんど無い武将である。が、関羽の息子ということでもっち活躍してほしいという民衆の願いが演義でのあの活躍になっているのだろう。とはいえ、歴史は動かせないので、関興の大活躍も局所戦にとどまり、一騎打ちで倒した武将も2流である。

このように、親が活躍した場合、その兄弟・息子(大抵オリジナル)が活躍するというパターンは、中国作品ではよく見られることだと思う。例えば中国の民間伝承としての三国志に「関羽の娘」「馬超の妹」かいろいろなオリジナルキャラが登場し、親を生き写しにしたような活躍を見せることが多い。さらに、水滸後伝のように、大半がオリジナルである小説の後日譚として主人公の子供たちの活躍を描く作品まで登場している。

日本ではこの類は見られないのではないか。源氏物語では息子も活躍しているがあれは主役の引継ぎに過ぎないし、南総里見八犬伝は一応モデルが実在の人物なので多少このパターンに似ているかもしれないが、やはり毛色が違う。強いてあげれば、源義経がモンゴルに渡ってチンギスハーンになったという民間伝承が一番近いのかもしれない。弁慶も実在しない人だしね。

そういえば、昔の時代劇で徳川の将軍の弟(オリジナル)か何かが身分を隠して悪を討つ作品があった気がした・・ついでに、志茂○景樹なら書いていそうな気がしてきた(笑)。

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