演義編 兀突骨 ゴツトツコツ

烏戈国の王。

身の丈は1丈2尺。五穀を食べずに生きた蛇や獣を食べ、体には鱗が生えて刀も矢も突き通すことができない・・って、もはや人間の領域をはるかに越えている

兀突骨が出陣すると魏延が迎撃したが、刀も矢も跳ね返す藤甲の前に大敗。

何回も戦って、少しは勉強したと見える孟獲が「諸葛亮は伏兵を用いる。谷や森では軽軽しく進まぬように」と勧めると、兀突骨も「中国の者は謀を使うと聞いている。よく心しよう」と答えた。

しかし、魏延が偽の敗走を15度も繰り返すと、さすがに兀突骨に油断が生まれる。16日目、兀突骨は象にまたがり、頭には日月を飾った狼鬚帽、身には金銀珠玉の首飾りをたらし、左右のあばらの下に鱗を剥き出しにして、眼から怪しげな光を放ちながら魏延を激しく罵った。

魏延は馬首をひるがえして逃亡(作戦じゃなくても、こんな相手では逃げたくなる・・)し、兀突骨は追撃して盤蛇谷に至った。

しかし、これが諸葛亮の計略だった。盤蛇谷には地雷が埋め込まれており、導火線に引火した地雷の炎はたちまち火に弱い藤甲軍3万を焼き殺した。演義史上まれに見る皆殺し戦法である。諸葛亮は「これで私の寿命が縮まった」と涙を流すが、南征開始時の「心を攻める」はどうなってしまったのか気にかかるところである。

私評 戻る