郡の出身。☆若い頃から劉備と旧知の仲で、付き従って転々とした。劉備が荊州に赴くと、簡雍は糜竺・孫乾とともに従事中郎となり、常に劉備の話し相手になり、従来して使者の役目を果たした。劉備が益州に入ると、劉璋は簡雍と会ってたいへん彼を愛した。
☆後に劉備が成都を包囲したとき簡雍に劉璋を説得させた。かくして劉璋は簡雍を同じ輿に乗せて城を出て降伏したのである。
☆劉備は簡雍を昭徳将軍に任命した。
☆簡雍は劉備に賓客友人の扱いを受けた。
☆簡雍はのびのびとした態度で見事な論をなすが性格は傲慢・無頓着で、劉備のいる席でも足を投げ出して座り脇息にもたれ、だらしない格好で心のままに振舞った。その他、諸葛亮以下の者に対しては、自分だけ長椅子を占領し、首を枕に乗せ横になったまま話をし、彼らのために自分を曲げることをしなかった。
☆当時旱魃で酒が禁止され、醸造したものは刑罰に処せられたことがあった。役人がある家を捜索して醸造用の道具を没収し、裁判官は酒を作った者と同罪にしようとした。簡雍は劉備と散策に出た折に一組の男女が道を行くのを見て、「あの者達は淫らな行為をするつもりです。どうして捕縛なさらないのですか」と言った。劉備が「どうしてわかるのかね」と聞くと、簡雍は「彼らは淫行の道具をもっています。醸造するつもりの者と同じです」と答えた。劉備は大笑いして醸造しようとした者を許した。簡雍の機智はすべてこういうふうであった①。
①ある人が言うには、簡雍の本姓は耿という。幽州の人は耿を簡と発音したので、それに従って姓を変えたのである。